マツはなぜ海岸に多いのか


Q1: マツはなぜ海の近くに生えているんですか?

Q2: どうして松は砂浜に生えるのですか?



A1: 海の近くはマツにとって暮らしやすいからです
 
 海の近くでは海水のしぶきが風に吹き上げられて樹木の葉につくことがあります。塩水や塩が葉につくと,普通の植物は枯れてしまいます。そのため,クロマツ,ウバメガシ,トベラ,シャリンバイなど塩の害に強い樹木だけが育つことができます。岩場では,草が生え,少しずつ低木が生えてくると,だんだん土がたまり,長い間に自然林ができます。砂浜では,砂がいつも動いているため,樹木が育ちにくく,ハマヒルガオ,ネコノシタ,ハマゴウ,コウボウムギなどの草がはえるだけです。海岸砂丘の砂が風で運ばれ,海岸の畑や集落を埋めつくされてしまうことがありました。そこで,人々は塩の害に強く,砂浜でも育つ樹木を探して森林を造ることにしました。この目的にかなう樹木のうち,背が高くなって風をよく防ぐことができるのはクロマツだけでした。クロマツの葉は細いので強い風に逆らわず,風の力を弱め,風に乗った砂を地面に落とす働きが大きいのです。
ネコノシタ
    砂浜に生育するネコノシタ
海岸に植林されたクロマツ林
    海岸に植林されたクロマツ林,吹き寄せられた砂で埋もれている



A2: 自然に生えたのではなく,人々が植えたからです
 砂浜のように養分や水分がほとんど無いところでは,普通の広葉樹はよく育ちません。マツの根のまわりをマッタケなどのキノコ類が取り囲んで菌根(きんこん)を作ります。このキノコの菌糸が水分や養分を集めてくれるので,養分や水分の少ない砂浜でも育つことができるのです。
 砂丘に松林を作るのは大変な仕事です。海岸に松林があるところでは,その町や村の歴史を調べてみてください。何十年も前,ときには江戸時代から何度も何度も植林をしたことが書かれているはずです。いくらクロマツが乾燥や塩の害に強いとはいっても,小さな苗木にとって,砂から水を吸うことはむつかしく,少しの風で砂に埋もれてしまいます。そこで,苗木のまわりに竹やよしずを使った防風垣を作り,砂の表面にわらを敷いてやり,遠くから水を運んで,まいてやるなど,大事に育てました。大きくなった松林は強い風を防ぎ,台風の時にも海の塩が飛んできて畑の作物を枯らすことがなくなったのです。


海岸クロマツ林の落ち葉かき
               海岸クロマツ林の落ち葉かき

 海岸砂丘のクロマツ林にたまった落ち葉は,タバコを作る畑や,メロンのビニールハウスに入れる腐葉土を作るのに適しているので,冬の初めに集められます。このとき,枯れ木や枯れ枝を掃除しています。

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