四国支所はやわかり

森林総合研究所とは ?                                  詳しい説明

 日本は国土の約7割が森林におおわれた、世界でも指折りの森林国です。山奥にかけて広がる森林は、先人たちのたゆまぬ努力によって守り育てられてきました。これらの森林は、木材の生産、洪水や山崩れの防止、良質な水の供給など私たちの生活に重要な役割をはたしています。

  森林総合研究所は、森林がはたしている様々な役割を明らかにし、環境の保全や私たちの生活に活かしてゆくための研究をおこなっています。

四国支所とは?

 当支所の位置は高知市朝倉西町2丁目915にあり、JR朝倉駅から四万十市に向かう県道を2kmほど進んだところ右側の小山にあります。
  この小山の字名は行宮の森(カリヤノモリ)と言い、その昔天智天皇の幼少の頃、ある事情により仮の御所が設けられたために、名付けられたという言い伝えがあります。 また、この小山の高さは、重要文化財高知城の天守閣と同じ高さにあり、高知市の市街を西から展望することができます。
 

 四国の森林 は、急傾斜地が多いうえ台風や豪雨にたびたび見舞われる厳しい自然環境のもとにあります。また、スギやヒノキの人工林が高い割合を占めています。四国支所 は、このような四国の森林を対象に、森林が育つ仕組みや森林の持つ様々な機能を科学的に明らかにし、適切に管理するための研究をおこなっています。

こんな研究をしています

      森林生態系変動研究グループでは、現在、おもに以下の1〜5の研究を行なっています。

1. 針葉樹人工林の適切な保育管理方法の開発を目指した研究を行なっています

2. 森林土壌にどれくらい炭素が貯まっているのか調べています

3. 天然林の長期モニタリングを行なっています

4. 竹林の分布拡大の影響や、管理と活用の方法について研究しています

5. 森林で雨水と渓流水採取して、窒素成分について調べています


 1. 針葉樹人工林の適切な保育管理方法の開発を目指した研究を行なっています
 ヒノキやスギの人工林を対象に、木材生産と、森林生態系のもつさまざまな機能の維持を両立していくための管理技術の開発に取り組んでいます。

現在のおもな課題は以下の2つです。
・強度間伐施業技術の開発
(→ 公開シンポジウム「森林(もり)もダイエットで健康に!」要旨集

・針葉樹人工林を広葉樹林に誘導する技術の開発
(→研究プロジェクト「広葉樹林化のための更新予測および誘導技術の開発」ホームページ)
(→四国の森を知る, No.11, p.2-3)
奥大野試験地 
強度間伐後のヒノキ人工林の変化を調べています

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 2. 森林土壌にどれくらい炭素が貯まっているのか調べています
 森林生態系は炭素の貯蔵庫といわれ、日本の森林土壌に蓄えられている炭素は植物体よりも大きいと推定されています。 しかし、土壌の炭素量は、調べた場所によって大きく違っているので、実際にどれくらいあるのかについては、 土を掘って、サンプルを採取して、分析してみないと正確にはわかりません。
 森林総合研究所では、日本の土壌炭素量の推定精度を向上するために、全国各地の土壌調査を進めてきています。 四国支所では四万十町(旧窪川町)の森ヶ内で地形と土壌炭素量の関係について明らかにする取り組みを行っています。
(→四国の森を知る, No.12, p.4-5
土壌断面調査(森ヶ内)

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 3. 天然林の長期モニタリングを行なっています
 森林が形成・維持されるしくみや、環境変動に対する森林の反応を明らかにし、 適切な管理に役立てるために、原生的な天然林 (市ノ又試験地、佐田山試験地)の動態を 長期にわたってモニタリングしています。
市ノ又試験地遠景
ヒノキ・モミ・ツガと常緑広葉樹の混交した天然林

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 4. 竹林の分布拡大の影響や、管理と活用の方法について研究しています
 西日本の里山地域では、管理されなくなった竹林が隣接する森林や農地に侵入し分布を拡大する現象が各地で観察されています。 そこで、竹林拡大が周辺の植生に及ぼす影響を評価するとともに、タケを資源として活用するための管理方法の開発を進めています。
(→公開シンポジウム「よみがえれ!竹林」要旨集
雑木林に侵入する竹林

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 5. 森林で雨水と渓流水を採取して、溶存性の窒素成分について調べています
 雨水と渓流水には溶存態の窒素成分(NO3とNH4)が含まれています。この窒素成分は植物や微生物の栄養源なので、健全な森林を通ってきたあとの 渓流水の窒素成分の濃度は雨水よりも低くなるのが普通です。
 私たちは10年以上も雨水と渓流水の水質モニタリングを続けていて、普段の窒素成分の濃度がどれくらい なのか知っています。
 もし森林が何らかの原因で弱ってきたとしたら、渓流水中の窒素成分の濃度はどうなるでしょうか?たぶんしばらくの期間、高くなると予想されます。
 気象害のように目に見える被害ならともかく、地球温暖化や大気汚染などのように、目に見えない形で森林が影響を受けていたとしたら、それをどのように診断したらよいのでしょうか?
 もしかしたらこの水質モニタリングのような地道な仕事が役に立つかもしれません。
渓流水を採取しているところ

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流域森林保全研究研究グループでは、こんな研究を行なっています。

 森林に住む昆虫の生態や環境との関わりについて調べています

 樹木の病気や害虫について調べて、それを防ぐ方法を研究しています

 野生生物と森林の関わりについて調べています

 林業の経営について調べています

 森林資源の把握と管理の方法について研究しています

 
 森林に住む昆虫の生態や環境との関わりについて調べています
 森林には多く種類の生き物が住んでいます。その中でも昆虫は、もっとも多様性に富んだグループです。四国支所では森林に生息している昆虫について、森林生態系の中での役割を調べたり、環境を評価するときの指標として役立てるための研究をしています。
・佐藤重穂(2009)虫の暮らしのいろいろ. 四国の森を知る 11:4-5 全文(PDF)
・佐藤重穂(2006) わずかに残された自然林の生物群集にはどんな特徴があるか.四国の森を知る  5:11 全文(PDF)



(写真)清流の環境指標種グンバイトンボ

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  樹木の病気や害虫について、それを防ぐ方法を研究しています
 四国の森林の約2/3は人工林ですが、スギやヒノキなどの造林木に病気や害虫が発生することがあります。また、天然林でも病虫害が大発生することもあります。  四国支所では森林で発生する病気や害虫などの種類や生態を調べて、その被害を防ぐための研究をしています。
・佐藤重穂・松本剛史・奥田史郎(2010)強度な間伐によってヒノキの立ち枯れが生じる危険のある立地条件. 四国の森を知る 13:4-5 全文(PDF)
・松本剛史・佐藤重穂(2007)オルファクトメーター法による匂いに対するニホンキバチの誘引反応
. 四国支所年報 48:26-28
・松本剛史(2007)ニホンキバチはどんな匂いが好きか?. 四国の森を知る 8:4-5 全文(PDF)
・佐藤重穂(2007)間伐に伴う材質劣化病虫害の発生と抑止. 四国の森を知る 7:4 全文(PDF)


(写真)ニホンキバチとそれによる変色被害材

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 野生生物と森林の関わりについて調べています

    森林にはさまざまな野生生物が棲んでいます。彼らは森林生態系の中でさまざまな役割を果たし、森林と
   深く関わり合っています。ときには数が増えすぎて、森林に被害を与えるものや、数が少なくなったり孤立し
   て生息していたりするため、絶滅のおそれのあるものもいます。こうした野生生物と森林との関係や、人間と
   の関わり合いについて研究しています。
      

・佐藤重穂(2009)四国地域における外来鳥類ソウシチョウとヒゲガビチョウの定着実態. 四国支所年報 49:35-36 
・奥村栄朗(2008)天然林におけるニホンジカの影響−滑床山・黒尊山国有林での調査−. 四国の森を知る 9:4-5 全文(PDF)
・奥村栄朗(2007)シカはなぜ増える−森とシカと人の関わりを考える−. 四国の森を知る 7:7 全文(PDF)
・佐藤重穂(2006)人工林のどの部分に種子が散布されやすいか−鳥によって散布される場合−. 四国の森を知る 6:5 全文(PDF)
・佐藤重穂(2006)四国地域の県別レッドデータブックにおける掲載種の比較.四国支所年報  47 27-33

        



写真(野ネズミ)

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 林業の経営について調べています

     四国は林業が盛んで、人工林の経営が森林管理の中できわめて重要な位置を占めます。四国支所で
    は、林業のよりよい経営方法や、森林認証制度の効果、持続可能な森林管理法への取り組みなどにつ
    いて研究を進めています。

・都築伸行(2007)九州における素材生産業者等による土地付き立木購入事例. 四国支所年報 48 36-37
・都築伸行(2007):四国における素材生産業者等による土地付き立木購入事例. 四国支所年報 48 34-35
・都築伸行(2007)四国における素材生産業者等による土地付き立木購入の実態. 四国の森を知る 8:2-3 全文(PDF)
・佐藤重穂ほか(2006)持続可能な森林経営のためのモニタリング指標の検討.四国の森を知る 5: 10 全文
・都築伸行(2006)森林認証制度による地域森林管理.四国の森を知る 5: 8  全文

FSC認証材につけられるロゴマークとCoC認証のラベル
 
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 森林資源の把握と管理の方法について研究しています

     森林に木材をはじめとする資源がどれだけあり、どのような状態にあるかを把握するのは、森林を管理
     する上できわめて大切です。四国支所では、人工衛星や航空機を使った森林資源の把握方法の研究や、
   
GISを利用した森林資源の管理などについて研究しています。

・小谷英司(2008)低密度航空機LiDARによる広葉樹林の林分材積の推定法の開発. 四国の森を知る 9:2-3 全文(PDF) 
・平田泰雅・佐藤重穂・酒井敦・倉本惠生(2006)森林伐採後の再植林放棄地における森林の再生能力の評価. 四国の森を知る 6:7 全文(PDF)
・平田泰雅(2006)高分解能衛星データによる森林配置の把握. 四国の森を知る 6:3 全文(PDF)
・平田泰雅(2006)「流域圏における水循環・農林水産生態系の自然共生型管理技術の開発」研究の概要. 四国の森を知る 6:2 全文(PDF)
・平田泰雅ほか
(2006)森林の再生メカニズムをモデル化する.四国の森を知る 5: 9 全文




(写真)小面積の林分単位での森林管理
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森林総合研究所 四国支所 Forestry and Forest Products Research Institute