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四国情報 No.28:7-8 (2002.8)

リモートセンシングとGISを用いた森林機能の評価

流域森林保全研究グループ長 平田 泰雅  

はじめに
 近年のコンピュータ技術の発達は、インターネットの普及もあいまって、目覚しいものがあります。このため、我々を取り巻く森林資源や、それが生育する環境についての各種の情報が、空間的なデジタルデータとして取り扱えるようになってきました。これに伴って、これまで個別に作成されてきた土壌図や林相図、地形図といった主題図が、同一の地理座標を持つ地理情報として、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)の上で、統合的に解釈できるようになりました。
 また、リモートセンシング技術は、地表を観測するセンサーの高精細化が進んでいます。現在では、宇宙から1mの地上分解能をもつ衛星センサーによって個体の識別が可能となり、さらに、航空機など空からレーザー光を地表に照射することによって、地表物の3次元構造の取得が可能になるなど、森林の詳細な情報が得られるようになってきました。そのため、森林がもつ多面的機能を評価するために必要となる森林の構造を、広域にとらえるのに有効な手段として期待が高まっています。 
 そこで、リモートセンシングとGISを用いた広域にわたる森林機能の評価についての現状について述べることにします。

リモートセンシング技術の精度向上
 森林分野におけるリモートセンシング技術は、人工衛星や航空機など上空から地表面を観測する技術であり、これまでにも森林の現況を推定する手法が数多く提案されてきました。しかしながら、これまでのリモートセンシングにおいては、2次元平面での個体群に対する情報の収集であったため、その推定には限界がありました。近年、センサーの高度化により、レーザー光を用いた航空機やヘリコプターからの地表物の3次元計測や、人工衛星からの1mの地上分解能での観測が行われるようになり、森林の構造やバイオマスが、広域に精度よく推定できる可能性が高まってきました。これらを精度よく推定することにより、森林機能を評価することが可能となります。
 レーザー光を用いた地表の3次元計測では、センサーを搭載した航空機やヘリコプターの位置と高さ、姿勢、レーザー光の照射方向、レーザー光が林冠および地面に当たって返ってくるまでの時間を、最新の測量技術を用いて精度よく計測することにより、1回の計測で、地形とその上に生育する森林の構造をとらえることが可能です(図1)。

 

図1 スギ人工林林冠および地形の3次元表示

 また、1mの地上分解能をもつ衛星からの観測による森林情報の抽出においては、立木の梢端部分が太陽光を最も強く反射することを利用して、林分の立木本数を推定することが可能です。
 これらの技術を応用することにより、地上で得られた森林の機能評価に関するさまざまな研究結果を、広域にスケールアップすることが可能となります。

GISとの統合
 森林とそれを取り巻く環境に関する情報は、これまでにも、統計データや主題図の形で作成されてきました。しかし、これらの情報は、それぞれ独立した形で、表データや紙に描かれた地図として存在しており、これらの関連を解析することが困難でした。そこで、これらの情報に対して、GIS上で共通の地理座標を与えることにより、例えば、地形や土壌とその上に生育する森林との関係、各市町村における森林資源の構成やその推移など(図2、図3)を統合的に、また視覚的に明らかにすることが可能となります。その結果、例えば、森林タイプ別の炭素の固定量や水源涵養機能についての調査結果をもとに、これらの機能について、広域での評価を行うことができるようになります。
 リモートセンシングによって広域に森林情報を取得する技術は、年々高度化されており、これまで地上調査では限界があった情報の取得が可能になってきています。また、各種の情報を地理座標を介して相互の関係を明らかにする試みは、とりわけ阪神大震災以降、行政サイドにおけるGISの普及に伴い、防災分野において急速に進展しているほか、いろいろな分野での応用が図られています。森林の多面的な機能を評価するためには、この機能に関連するいろいろな要因を広域的に、また複合的にとらえることが重要で、この点からリモートセンシングおよびGISを森林機能の評価に活用することが求められています。

図2 四国地方における林業センサスによる市町村別人工林率

図3 四国地方における林業センサスによる市町村別人工林率の推移

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